秋田県横手市は発酵の街
地元で愛される麹のお店&「発酵の日のイベント」に行ってきました!

毎年8月5日は、秋田県横手市で発酵イベントが開催されています。
8月5日(ハッコウ)のゴロを利かした日程ですね。
今年の発酵イベントは、東北4大祭りの一つ「竿燈まつり」が4年ぶりに開催された最中での開催で、猛暑の中、道中の車内から賑わっていました。

私たちは、8月4日に横手入りし、
まず最初に横手市で人気の麹料理店の「羽場こうじ茶屋 くらを」様を訪問しました。
この料理店は横手市内の「麹と味噌の専門店 羽場こうじ店」が運営しており、女将である鈴木百合子様は、発酵料理士協会の受講生様です。(素晴らしいご縁に感謝!)

羽場こうじ茶屋 くらを
女将の鈴木百合子様

品数豊富なランチは、羽場こうじ店の麹で作られ、一品、一品がかつて食したことがない
うま味と甘さがありました。その秘密は羽場こうじ店で作られる「麹」にありました。
通常、お米の表面に「麹菌」が付けば「米麹」と言われるが、羽場こうじ店の「麹」はお米の中にまで「麹菌」を入れる技術があるとのことで、女将によると「米の中には空気がないから、どうやって麹を入れるかそこが腕のみせどころ」とのことでした。(驚きです!)

お店では約2時間滞在し、お忙しいにもかかわらず、横手の発酵食や今後の発酵文化等について、主に以下のようなお話を伺いました。
「近年の発酵ブームで、当店にも遠方からお客さまが来られますが、横手の地元では、麹を使った発酵料理はごくごく日常の食べ物で、秋田のおかあさん一人一人が漬け方の自信と経験が生かされています。」ただ、鈴木様は「伝統を守るだけではなく、玉ねぎ麹、カレー麹等の新しい食べ方が生まれることは歓迎だし、時代に応じて進化していなければ、文化も継承されていかない。」
と話されております。
また、店舗の奥には奥行き80m程、天井の高さも数十m程の旧勇駒酒蔵の酒蔵(後記)があるのですが、目を見張るばかりの木造建築物で、現在は有形文化財になっています。
鈴木様は「この場所を有効活用していきたい。」と考えておられ、
私たちはすかさず、「ここで麹作りのセミナーできないでしょうか?」と提案させていただきました。ただ、鈴木様は「麹は誰でも簡単に作ることはできますが、プロが作るそれとは違う。」そうです。そして「自然界の菌だけを使うのはリスクがあります。秋田には種麹スターターメーカーがあり、安全面をしっかりチェックして質の良い種麹を使うことが出来るから、横手の麹が素晴らしいのです。」とお話されました。 (私たちは、そのようなことも学びとして、是非、麹作りのセミナーを将来開催したいと思いました。)

―くらをの料理―
秋田県の県南地域、横手市増田。雪深い冬がもたらす豊かな水が広大な横手盆地を潤すこの地域は、季節の野菜、果物、山菜、きのこなど、四季折々の食材に恵まれた、全国有数の米どころ。それゆえ、かつては集落毎にひとつ麹屋があったと言われるほど、この地域にとって麹(発酵)は暮らしそのものになっています。旬の食材と麹をふんだんにつかった「発酵料理」、お母さんたちが先代から受け継いできた美味しく美しい「がっこ(漬物)」、「㐂助みそ」をつかった実だくさんの味噌汁をお楽しみください。

8月のランチ御膳

―旧勇駒酒造―
平成15年まで酒造りをしていた旧勇駒酒造の建物がお店です。江戸後期に建造された「宝暦蔵」は国登録有形文化財にも登録されている内蔵で、長い時間をかけて刻まれてきた歴史と、酒蔵としての面影が感じられます。かつて酒の仕込み水として使われていた井戸水は、いまも全てのお料理に使用しています。お店のある横手市増田は、平成25年に中七日町通りを中心に「国の重要伝統的建造物群保存地区」に選定され、たくさんの観光客が訪れるようになりました。

―「羽場こうじ茶屋 くらを」のHPよりー

旧勇駒酒造 宝暦蔵
酒蔵の天井

「羽場こうじ茶屋くらを」
https://www.kurawo.net/

「麹と味噌の専門店 羽場こうじ店」
https://habakojishop.handcrafted.jp/

翌日の8月5日は、横手駅前Y2プラザで開催の「発酵の日イベント」に行ってきました。
https://ft-town.jp/archives/1248

朝から30℃を超える猛暑でしたが、会場には羽場こうじ店様をはじめ、麹、お味噌、お酒、漬物、お菓子関連等、約20の出店ブースがあり、大変な賑わいでした。
甘酒と冷や汁は、無料でのふるまいもあり、シャーベット状の甘酒はこの日の暑さを吹き飛ばしてくれました。
地元の「植田のこうじや(資)高橋麹店」代表高橋正弘さんによる、「発酵と健康」をテーマとした講演もあり、横手が市民一体となって、発酵の街として盛り上げている印象がありました。
また、発酵文化研究所の方に、麹組合の理事長様、秋田を代表する浅舞酒蔵の社長、日本一高い納豆を作る企業の社長様をご紹介いただき、麹の街として発展してきた経緯、日本酒造りのこだわり、何故、日本一高い納豆が生まれたのか等、全て親しみを持ってお話していただきました。県外の私たちにご丁寧に接していただきましたことに、深く感謝いたします。
※実は、「秋田美人」についての由来もお聞かせいただき、ただ単に食習慣による肌の美しさだけではないその由来とは何か?機会のある時にご紹介させていたければ幸いです。

イベント会場 Y2プラザ
イベント会場の様子

以上、暑くて熱い2日間の横手の街の取材でしたが、ご多忙の中、ご丁寧な対応をしていただきました鈴木様、イベント開催に協力をされた皆様方に改めて深く感謝申し上げます。

―最後に―
「私の街には、このようなイベントや食文化がありますよ!」等を是非、教えてください。
地元にお伺いして初めてわかることがあまりにも多いです。
皆様の「地元自慢」をお待ちしています!

―発酵料理士協会 木村保司―