2024年5月14日(火)発酵料理士協会 丸秀醤油(株)様(佐賀市)訪問レポートと発酵料理士協会主催福岡&東京にて交流会/協会説明会実施のご報告

2024年5月14日(火)
発酵料理士協会 丸秀醤油(株)様(佐賀市)訪問レポート

5月14日(火)快晴の朝、私たちは博多から本日の取材先の創業120年以上の歴史がある「丸秀醤油(株)」様に車で向かいました。

実は前日の5月13日には、福岡で初めての「発酵料理士協会の説明会」(後記)を開催し、説明会参加者の会員様のご紹介があり、実現しました。

さて、皆様は佐賀県について、どれほどのことをご存知でしょうか。

歴史・考古学に興味のある方は「吉野ケ里遺跡」、焼き物が好きな方は「有田焼」、食通の方はイカの活作り等でしょうか。

しかし、私たちスタッフ3名が驚いたのは、収穫前の広大な小麦畑でした。晴天のお陰で黄金色に輝く見事な風景でした。

改めて確認をすると、何と小麦の生産量は全国3位。(※大豆は第4位)因みに県別の面積では、47位中42位です。面積率で換算すると、小麦も大豆も圧倒的1位です。

また、佐賀平野は二毛作が盛んです。5月~6月に小麦の収穫を終え、6月~田植えをします。二毛作の種類も小麦と大麦、小麦と大豆などもあり、何と耕地利用率は日本一です。

佐賀の醤油醸造には、このような第一次産業の支えが背景になっているのですね。

さて、当日私たちを迎えていただきましたのは、丸秀醤油(株)六代目代表取締役 秀島健介様です。大変にお忙しい中、お時間を取っていただきました。 秀島社長は誠実で物腰やわらかく、ご丁寧に丸秀醤油の歴史から現在の取り組みなどをお話しいただきました。

-丸秀醤油様の伝統的な天然醸造とは-

丸秀醤油は創業1901年、佐賀県で唯一、伝統的な天然醸造によって製品を作っている醤油蔵です。120年の間に時代は目まぐるしく移り変わり、醤油づくりを取り巻く環境も大きく変化を遂げてきました。高度経済成長期には、全国で事業の集約による効率化が進められ、大型機械を用いた大量生産が主流となりました。職人が菌と対話をしながら時間をかけて醸造していた醤油づくりは、科学技術によって菌を管理して短時間で製造する方法へと変わっていきました。そのような中、当社では一貫して創業以来受け継がれてきた昔ながらの製法を守り続けています。職人は今も常に麹菌や酵母と対話をしながら、菌たちが一番伸び伸びと活躍できる環境を整えることに神経を研ぎ澄ませます。醤油づくりの主役はあくまで菌たち。私たちができることはその環境を最高の状態に整えて、あとは菌の働きを待つだけなのです。現在では、このような昔ながらの天然醸造で醤油づくりを続けている蔵元は全国でもわずか、佐賀県内では唯一となりました。

-丸秀醤油(株)ホームページ内 代表メッセージ-

少し具体的に説明しますと、
発酵熟成の過程で、一切乳酸菌や酵母を加えることなく、全て蔵に棲みついている天井や壁の自然の菌だけで熟成させる方法です。自然の乳酸菌が自然にともろみに入って乳酸発酵して、蔵に棲みついる酵母が自然ともろみに入って、酵母によるアルコール発酵するメカニズムとのこと。周りの企業が近代化を進めていく中、会社の理念を守り続けることは時代に逆行することでもあり、大変なご苦労をされたようです。

さて、工場を案内していただきました。

目的別のいくつもの部屋がありますが、やはり天井、壁一面が菌の棲家を感じさせる独特な空間です。

<焙煎された小麦>
<生醤油を絞りだす機械>

-「自然一醤油」丸大豆2年仕込みの天然醸造醤油-
丸秀醤油の看板商品となっている「自然一醤油」に使う大豆は、栄養分が豊富に含まれた選りすぐりの丸大豆。地元佐賀県産小麦と、自然海塩とともに天然酵母によって仕込んでいます。

醤油作りに用いるのは、まるごとの大豆のみ。ほとんどの醤油は、低価格で加工がしやすい脱脂大豆を用いていますが、丸大豆はしっかりしたコクと、多彩な旨み、上質な甘さをもたらしてくれます。地元佐賀県産の全粒粉は、工場内で釜炒りし、挽いたもの。また、ほとんどの日本の醤油は市販の酵母菌を用いており、加水分解した大豆たんぱくなど化学合成した材料を加えて工業製品のように作るメーカーもあります。一方、丸秀醤油では、職人の勘を頼りに長年の経験によって実証されてきた醸造の仕方を今も守り続けています。もろみはすべて手作業で仕込まれ、何年もかけてゆっくりと熟成。こうした長い工程を経て、「自然一醤油」独特の深みがあってまろやか、かつ、旨味たっぷりの味わいへと仕上がります。発酵が終わったもろみは、布袋に詰められ、やさしく醤油が絞られていきます。

-毎年10月は蔵開きイベントを開催!!-

火入れをする前のしぼりたての生醤油は、まるでワインを思わせるフルーティさ。これは毎年10月、一般向けに開催する蔵開きの限られた期間だけでしか手に入りません。火入れを施した「自然一醤油」は深みのある褐色。その味は甘みとキャラメルのような香ばしさとが、絶妙に調和しています。

-麹UNIVERSE(宇宙)の取り組み-

醤油のほかに、丸秀醤油はさまざまな種類の味噌をはじめ、新しい材料を用いた製品も作っています。例えば、キヌアで仕込んだグルテンフリーの味噌など。こうした革新的な製品は、丸秀醤油六代目秀島健介の創意によるもので、雑穀を用いた舌触りのよい「丸秀十穀味噌」作りのノウハウを巧みに応用しています。

また、毎年10月、一般向けに開催する蔵開きが大人気です。火入れをする前のしぼりたての生醤油は、まるでワインを思わせるフルーティさで、これは限られた期間だけでしか手に入りません。

さらに忙しい中でも食べものをていねいに手作りする習慣を見直してほしい。そんな思いから、丸秀醤油では味噌作りワークショップや醤油作りワークショップを保育園・小学校・カフェ・薬局・子育てサークルなど様々な場所で開催しています。

最後に

秀島社長には、ご多忙の中、快くご対応いただき、誠にありがとうございました。いつか10月の蔵開き伺いたく思います。

尚、本文は丸秀醤油(株)様のホームページ及び会社パンフレットを参考、抜粋させていただいています。取扱商品などの詳細は是非丸秀醤油(株)様のホームページをご覧ください。

丸秀醤油(株)
佐賀県佐賀市高木瀬西6-11-9
TEL       0952-30-1141
URL       https://shizen1.com

発酵料理士協会主催 福岡&東京にて交流会/協会説明会実施のご報告

5月13日(月)博多駅近くの会場で、福岡では初めての交流会及び協会説明会を実施しました。初めてお顔を合わす方が殆どでしたが、福岡県以外の大分県、佐賀県からも10名のご参加となりました。更に、5月31日(金)には発酵料理士協会池袋事務局にて、初めて東京での交流会等を実施しました。福岡同様10名のご参加でしたが、東京都以外、千葉県、神奈川県、群馬県等からもお越しいただきました。既に発酵カフェを経営されてる方もおられ、実践的なお話をシェアすることができました。

昨年から姫路市、徳島市、那覇市、大阪市と開催してきましたが、目的は皆様と交流を深めながら、発酵料理士協会が推進する「わたしの街の発酵プロジェクト」の基盤つくりです。今後も引き続き各地で開催していきますので、機会がございましたら、是非ご参加していただきますようお願いい申し上げます。

発酵料理士協会代表理事 木村 保司